
事の起こりは・・・そう、今を遡る事約4ヵ月。
世間ではそろそろ学生さんたちの夏休みも始まろうかという7月のある日、某のスマホに一本の電話がかかって来た・・・・・と思っておくんねえ。
発信者の表示は「ちち」。
御年ン十歳になる我が父から半年振りにかかって来た電話である。
曰く・・・。

ちなみに父PCの製造年は2004。
15年前のデスクトップノート「FUJITSU FMV-BIBLO NB50J」である。
搭載OSは言わずもがなの「WindowsXP Home Edition」。
今現在までの間にメモリの規格は DDR→DDR2→DDR3→DDR4 へと進化を遂げ、Windowsもまた XP → Vista → 7 → 8 (8.1) → 10 へとバージョンが上がるという進歩著しいPC界においては、まさに「石器・土器」。
・・・と言わないまでも、蒸気機関くらいには相当するであろう旧世代機器である。
そしてセキュリティを懸念する識者からは「そんなものを今の今まで使っていたのか!」とお叱りを受けそうではあるが、ご安心めされよ。
我が実家にネット環境は無い。
出所不明のフリーソフトがインストールされる事も無ければ、データの移動は「デジカメ→PC」一方通行のみという完全自己完結型の運用形態。
文字通り弱肉強食のネット社会から隔絶されたガラパゴス島のごとき安寧なる世界。
それが、我が実家の偽らざる姿なのである。
さすがに XP → 10 へ一足飛びに乗り換えたのでは我が父ならずとも 「よくわからん」とのたまうのは道理であろう。
そして次なる言葉は「使い方を教えに来い」 ・・・か?
あまり耳にしたくない台詞であるが故に、自然とスマホを離し気味に持ち替える某。
ところが、やや間を置いて電波を伝播してきたその声は意外にも・・・。

身構えていた某はとたんに拍子抜け。
そして「命令口調はいつもの事」と受け流しその申し出を受けた某は、夏らしい日差しの中、窓全開の車を走らせ一路実家へと向かうのであった。